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ホームページ形式での更新は中止し、不定期にブログ形式で更新していきます。
今までのホームページは、計算ファイルのダウンロード先として利用していきますが、掲載内容等は変更します。

よろしくお願いします。

鉄筋挿入工(通称ロックボルト)のシースについて

今回は、以前から書こう思っていた、鉄筋挿入工(通称:ロックボルト)のシースについて書いておきます。

鉄筋挿入工(通称:ロックボルト)のシースとは、図中のプレート背面部に設置するものです。
ssd345-d19cut2.jpg
メーカさんからCAD図面を頂くと、結構な確率で入っていますので、知っている方は多いと思います。


鉄筋挿入工は、旧道路公団(現NEXCO)によって開発・熟成された工法です。
現在では「道路土工指針」にも載っていますし、文中の引用文献にNEXCOの文献名までしっかり入っています。
ということは、NEXCOの「切土補強土工法設計・施工要領」というのが、一番のよりどころになってくるかと思います。

この文献には、「シース」のことについては一切書いてありません。
「切土補強土工法設計・施工要領」には、以下のような記載があるのみです。


 ■補強材の地表部(孔口付近)
  補強材の地表部に近い部分(概ね地表から50cm程度)は、注入材の充填を入念に行うものとする。
 ※挿絵には「硬練りモルタル」と表記あります。



要するに、マニュアル通りの施工を行えば必要ない部材となってきます。ただ、シースを使えばより防食に強い「安全側」な構造となる仕様です。


で、なんでこの事を記事にしたかといいますと、前々から恐れていたことが起こりました。
シースを用いたがために、計算時の条件と施工後の条件が異なり、チェックすると計算上NG(計画安全率を満足しない)な結果が出てしまいました
どうにかしたいと相談を受けたのですが、計算結果だけは変えようが無いですから、条件の見直し等を検討中です。
「安全側の判断」と思っていたのが、「危険側の判断」であった事例です。
使うことに問題はありませんが、ある条件においては非常に大きな問題が発生します。
皆さんも注意してください。

■問題が発生する可能性がある条件
1.受圧構造が薄い(軽量なパネル構造やコンクリート吹付等は注意です)。
2.鉄筋挿入工計算時に、移動土塊の引き抜き抵抗力(T1pa)を考慮している。
3.移動土塊の厚さが薄い。

1.について
 シースを用いる場合、受圧構造物が薄いと地盤の方まで飛び出してしまいます。
2.について
 移動土塊の引き抜き抵抗力(T1pa)を考慮している場合、移動土塊の補強材長からも抵抗を算出します。このため、シースが飛び出している場合は周面摩擦抵抗を考慮可能な延長が短くなります(グラウンドアンカーでいう自由長部のようなもの)。
3.について
 移動土塊の厚さが薄いと、シースで周面摩擦抵抗を考慮できない割合が大きくなります。

以上の条件が重なってくると、シースの影響で移動土塊の引き抜き抵抗力が小さくなり、結果としてNGとなることがあります
有名メーカーのソフトでは、シースの有り無しで移動土塊の挿入長の調整はしていません。
このような場合はモデル図に工夫をして、シースの飛び出した長さ分の薄い地層を設けて、周面摩擦抵抗値を「0」として計算すれば問題ありません。

以上より、常に計算に基づいた図面の作成を心がけましょう!!
私は、いつも「シース」「先端キャップ」など、外した図面を作成して、納品しています。
「先端キャップ」とかも同じような問題が発生しますよ。

ではまた。
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プロフィール

Author:斜面設計屋
土木設計をしていますが、ほとんどが斜面対策設計です。
地すべり、崩壊、災害、落石、岩盤崩壊等々・・・
仕事をしていて思ったのですが、実務の参考になる書籍やサイトが無い!
ですので、私が体験談を書いてみることにしました。
私が書く事が正しいとは限りませんので、皆さんの自己判断で参考にいしてみてください。

現在は「アライズ設計事務所」という個人の設計事務所をやっておりますので、疑問点等がありましたら、遠慮無く相談ください。

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